2003年 夏:夏のキャンプへ

とにかく夏のキャンプは忙しい。
先輩トレーナーらにも気持ちよく働いてもらいたいので朝6時に起きてトレーナールームの準備・清掃からスタート。

選手らはフルーツを食べてすぐさま山道ランニング。その後、朝食をとり9時半からフィジカルトレーニングを行い、午後はシエスタ(昼寝)を挟んで2時間ボールトレーニング。

キャンプのホテルはさすが1部リーグ。パラドールというスペインの古城や豪族の旧家などを改装した豪華なホテル(レベルは4~5つ星ホテル)に連泊。
バルセロナのローカルチームにいた私には考えられない贅沢である。

朝食からワインやシャンパン、生ハムなどが豪華に並ぶビュッフェ。
昼食はパスタやパエリア、肉・魚料理がバランスよく出され、食材やワインのクオリティーも高い。ヨーロッパなのでお昼からワインは選手もオフィシャル的に飲むことができる。
(スペインでは酒やたばこは16歳から許されている。たばこを吸う選手はほとんどいないが...)

昼食後はシエスタで夕方までからだを休め、18時からまたトレーニング再開。

夕食は21時でのんびり談笑しながら、楽しむのがスペイン流。
スタッフも選手もここではワインも入り会話が弾む。5分も無言でいると「どこか調子が悪いのか?」と心配される。楽天的な私もこの食事の席では悪戦苦闘。
スペイン語で気のきいたジョークやツッコミができないとなかなか仲間と認められてもらえない。これがまた非常に難しく、デザート・コーヒーまでに長いと2時間以上。これが毎夜繰り返される。自分のボキャブラリーのなさに毎夜反省していた。

夕食後に選手のケアをするわけだが先輩トレーナーらは夕食後など働く気はない。私一人でトレーナールームの清掃や若手の選手が治療に来た時に対応していた。(もちろん私は好きでやっていたのだが)
0時くらいに就寝して翌朝は6時に起床するが、シエスタをしているため睡眠は十分に取れている。
先輩トレーナーと同部屋だったため、クラブや市の歴史、歴代選手、スペインサッカーの仕組みなど色々学ばせてもらった。

スペイン人とは面白いもので一度アミーゴになれば国籍など気にせず、ずっと親しくしてくれる。
その先輩はトレーナーとして凄いテクニックを持っていたわけではないが、抜群の選手からの信頼があった。
ここぞというときに上手に選手をコントロールできるのである。
レギュラーになれない、監督とのコミュニケーションが取れないなどの相談は日本でも日常的にトレーナーがケアすることが多いが、ラシンのマンテと呼ばれる先輩トレーナーは家族の相談や恋愛、時には年俸や契約内容まで選手から相談を受けていた。

つづく

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