09/07/06 : ウティジェロ

今日は私の知人ですごい人がいるので、ご紹介いたします。スペイン・ヒホン在住 古橋 潤さん。
古橋氏はプロのウティジェロを目指してスペインのローカルクラブで修行中の若者です。

さてウティジェロとは一体どのような仕事か?
ウティジェロとはプロサッカークラブの用具係のことです。
日本サッカー界ではホペイロと呼ばれ、ポルトガル語が語源となりJリーグでもその呼び名は定着しています。横浜FCのカズさんがブラジルからホペイロを初めてヴェルディに呼んだのはサッカー界では有名な話です。

ウティジェロの仕事はユニフォーム管理から、洗濯、スパイクの管理やグランドの手配やチェック、選手やスタッフが練習や試合をスムーズに行うためのクラブの大切な裏方スタッフです。
私はこのウティジェロという仕事を心より尊敬しています。誰よりも早く仕事をして、 気持ちよく仕事ができるのはこのウティジェロのおかげといっても過言ではないからです。

試合に勝っても負けても、ウティジェロは感情に動かされることなくロッカールームでテキパキと動く。試合に負けてスパイクをたたきつける選手がいても黙ってスパイクを拾い磨いて、長袖が気に入らないといえばハサミを入れて半袖に仕上げる。驚くのは、選手のスパイクのポイント(スパイクの裏についている鉄イボ)が何十種類もあり、その中から選手にあるポイントを付けて試合に送り込む。
「試合のアップ中、選手がスパイクのポイントが合わない」といったらまるでF1のピットインかのように即座に交換もしてしまう。

まだある。ユニフォームのナンバリングやペンキ塗り何でもこなす。そして、これが一番がウティジェロの醍醐味と感じるのが、「クラブの歴史を熟知している」というところ。
ウティジェロは基本的に何十年も同じクラブで仕事をしていて、60歳、70歳のウチジェロなどまだ若い方だ。
この春に、FCバルセロナのウティジェロ、エミリオ氏とお会いして話をしたらなんと80歳。まだ現役である。
「ヨハン・クライフやロマーリオ、グアルディオらだっておれがユニフォーム並べたりスパイク管理してたよ」サッカーを知っているものなら、このエミリオ氏の言葉の重みは十分に伝わるでしょう。

過去のスーパースターの歴史をウティジェロが現代の選手に伝え、歴史が刻み込まれる。 伝説の試合、伝説のゴール、様々なサッカーシーンがウティジェロから語り継がれていく・・・
過去を知りたければウティジェロに聞いてみな。なんて言葉もスペインではよく聞く。 こんな世界に古橋氏は飛び込んでいくという。

彼もかなりのロコ(いい意味で狂っている)である。先日、彼に連絡を取ってみると なんとバルサのウティジェロ、エミリオ氏に弟子入りしたくヒホンからバルセロナに引っ越したという。 もっと凄いのがいきなりあのFCバルセロナのオフィスに行って「ウチジェロとして雇ってくれ」と 言ったらしい・・・ロコですよね(笑)
しかし、ここからが面白い。面を食らったはずのバルサのフロントスタッフからの意外な返事は、 「じゃー履歴書持ってきてください」とまた会ってくれるという。彼の熱意が伝わったのだろう。

この先はまだ知らないが、夢と勇気をもったこの古橋氏をぜひとも応援したい!
そして、ウティジェロのパイオニアとして日本人ながらスペインのフットボールの歴史を語れる人間になってほしい。日本サッカー界もプロのウティジェロがどんどん増えていってほしいと思っています。
ウティジェロについてはまだまだ語り足りない・・・また今度どこかのタイミングでお伝えします。

山田 晃広

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